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2018

顔に降りかかる雨

CATEGORY小説
桐野夏生のデビュー作品でずいぶんと昔の本です。
だけど桐野作品の代表作の一つでもあり、人気のあるシリーズなのも確か。
主人公は村野ミロ。この作品の後、何作かミロシリーズがこの世に送り出される訳で
発表当時から人気が高かったのが分かる。派生の本も出てますし。

物語はミロの親友が失踪するところから始まり、この1作目では探偵業としては成り立っていないし
本人もそういうつもりも無いし、単純に親友の居場所を突き止めるのとヤクザに脅されての
行動となりますが、この主人公の村野ミロという人物に上手くスポットを当ててるのが良いのかも。

村野ミロ自身キチンとした人物でもないし、むしろ心に闇を持っている人物で夫が亡くなった事に
自分に責任を感じ、その反面そんな夫にも嫌気をさしていた事もあり、苦悩する中で勤めていた
出版社も辞め無職となって過去の出来事との葛藤もある中での親友の失踪。

事件に巻き込まれたと言われても良いと思うし、本人も仕方なくの反面親友への思い。
その中で探偵ではないけど探偵をしなければならないような状況に陥っていく事が面白い。
ミロの中の心の闇を描き、人間の表裏を描き、女としての心情を繊細に描いているのが
魅力的で人気があるのも分かる。

でも今の時代から考えて読んでみると、少しパンチ不足なのかもこの作品自体、江戸川乱歩賞も
受賞しているし悪い作品ではないけど、インパクトが少し無いような気もする。
それはきっと他の桐野作品を読んでいるからだと思う。

いとも簡単にこの作品を超えるような作品を世に送り出しているからこそだとも思う。
天才だと言われる筈だとも思う。でも村野ミロに出会うならこの作品からだし
彼女の成長を見るならば絶対コレからだもんね。

桐野夏生が天才だとも言われるような納得出来る作品の気もする。
小説の世界は1作目で当たるとそれ以降、その作品を越えるのが大変だと言われる世界の中で
指が折れるほど傑作だと言われる本がこの世にあるのが桐野作品の見所。

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Tag:日記 ミステリー小説 小説 桐野夏生

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